写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。日本全国、たまに海外へ…
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1泊2日でJR北海道の駅巡りの旅に行ってきました。これまで北海道には何度も行っているのですが、夏もしくは冬がほとんどで、秋に訪れるのは10年以上前の自転車旅行以来になります。
今回は往復とも飛行機で、往路は旭川空港から入りました。空港から旭川駅や富良野駅へのバス路線もあります。しかし乗り鉄にして駅鉄の性で、近辺に駅が無いかと探してみました。すると富良野線の千代ヶ岡駅が、5キロ程度の所にあるのを知りました。歩けなくは無いのですが、少し遠いので千代ヶ岡駅まではタクシーを利用しました。
10分と掛からず千代ヶ岡駅に到着しました。旭川市内にあり、一応、旭川空港の最寄駅。簡易駅舎に建替えられているのですが、駅開業の1936年(昭和11年)より更に昔、明治の頃よりここで枝を伸ばして続けてきたヤチダモ、ハルニレの4本の巨樹が出迎えてくれました。きっと木だらけの森を切り開き、人が住み鉄路が敷かれたのでしょう。
それにしても北海道はやっぱり寒い!10月末で、東海地方はようやく本格的な秋の訪れを感じられるようになった頃。しかし冬が間近の北海道にひとっ飛びしてきて、寒さに震え上がります。思わず近くのセイコーマートに飛び込み、使い捨てのカイロと手袋を買い込みました。
駅名標の背後では木々が色付き、北の無人駅に晩秋の彩りを添えます。
程なくすると、富良野行きの普通列車がやってきました。夏なら美瑛へ、富良野へと向かう観光客で混雑しているのでしょうが、オフシーズンのこの時期、車内は閑散とし、途中駅でも余裕で座席にありつけました。
そして美瑛駅で列車から降りると、ホームでは白樺並木のお出迎え。北国・北海道らしさ溢れる駅風景にハッとさせられました。落葉がプラットホームを染め、白樺を引きたるかのような鮮やかな色彩に、ただ魅入られました。
美瑛駅は地元産の美瑛軟石を使った石造りの古い洋風駅舎が現役。ヨーロッパ的な田園風景が印象的な美瑛のイメージに似合った名駅舎です。
美瑛町にも自転車旅行以来の訪問となるのですが、美瑛駅に降り立ち、商店街など駅前が見違えるほど小奇麗に整備されていたのに驚きました。まるで新興住宅地のよう…。私が始めて美瑛に来たのは約20年前で、記憶の断片に残ってる駅前との様変わりに改めて時の流れを感じます。その頃は、駅前の小さなお土産屋さんで自転車を借りて丘を巡ったっけ…。
その頃もそこそこは知られた場所だったのですが、今や丘のまちとして北海道有数の観光名所です。観光オフシーズンにも関わらず、駅には観光客の姿がちらほらと見られたのはさすが全国区になったと実感しました。
そして美瑛駅の隣の美馬牛駅へ。屋根や構内にもう雪が積もった痕跡が残っていました。
車寄せにつけられたドライフラワーのリースが、小さな木造駅舎の可愛らしさを引き立てます。
富良野駅では乗り継ぎ時間があり、ちょっと遅めですが昼食には好都合。ご当地グルメ・B級グルメブームの昨今、富良野では「オムカレー」を売り出し中です。オムカレーとはカレーライスにオムレツをのせた料理で、とろとろのオムレツとスパイシーなカレーの人気定番料理のコラボのいかにもそそる料理です。
これは富良野駅前の有名カレー店「唯我独尊」のオムカレー。スパイシーなカレーにオムレツと自家製ソーセージが添えられとても美味しく、富良野駅の途中下車で時間があったら是非とも利用したい名店です。
富良野から列車で…
といきたい所ですが、根室本線の下りは更に待たねばいけません。しかし、その隙間を埋めるように、部分的に根室本線と併走するふらのバスの路線がありました。
十数分で目的の布部入口というバス停で降車しました。布部駅の最寄バス停ですが、駅からやや離れています。手がかりが無いかと見回すと、踏切が見え道に迷う事はありませんでした。
踏切に至るとローカル線の小駅と思っていたのですが、長いレールが残る広い側線跡にびっくり。今は車両ひとつ留置されていませんでしたが、昔は貨物輸送でさぞ賑わったのでしょう。
布部駅と言えばドラマ「北の国から」第一話で、東京から北海道に移り住んだ黒板五郎と子の純、蛍の家族が新生活の第一歩を標した地として有名です。作者の脚本家・倉本聰氏直筆「北の国此処に始る」と書かれた記念碑があります。北の国からは最終回の「遺言」が放送されてから8年になりますが、布部駅を訪れる人は今も絶えません。
駅舎は改修されていて古き良き趣きはいま一つ。ですが、約30年前のロケ当時からの古い木造駅舎が残っています。
(※関連ページ: 駅と駅舎の旅写真館・布部駅訪問記)
日が山の向こうに傾きつつある頃、滝川行きのキハ40が入線してきました。しばし国鉄形気動車に揺られるレトロな旅路に身を委ねます…。
根室本線を北上し、終点のひとつ手前の東滝川駅で下車しました。
赤く染まった空が暮れゆく風景を楽しんでいたのですが、いつの間にか完全に夜となり、空はすっかり暗くなってしまいました。
東滝川駅は、町の隅の木々が生い茂る場所に立地し、列車がしばらく来ないこの時間、人影は見当たりません。…と言うか駅間近ですら、人の気配はありません。闇に包まれた駅は沈黙に支配され、灯りの無いトイレは闇の中でぱっくりと口を開けているかのように不気味に映ります。駅舎改札口跡のサッシ扉は外れ倒れていて、駅は荒んだ空気が漂い、怖ささえ感じました。寂寥感と背中合わせの夜の無人駅の風情を、いつものように味わおうという気になれませんでした。次の列車を待てず、近くを通る路線バスに乗り滝川駅に逃れました。
[2010年10月訪問]
翌日はこちらへ!
「その2: 日高本線・勇払駅、特急街道・室蘭本線の小さな駅」
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