信州、惜別木造駅舎めぐりの旅~松本電鉄と長野電鉄屋代線~

 日帰りで長野県に出かけてきました。

きっかけとなったのはアルピコ交通(松本電鉄)に残っている二つの木造駅舎、森口駅と新村駅の駅舎がいよいよ建て替えられる事になり、工事が12月から始まると知ったからです。しかも新村駅はもう始まっているらしい事を知り、これは一刻の猶予も無いと思い、急遽旅立つ事を決めました。

 そして、長野県内には、もう一つ終焉が迫っている路線と駅舎があります…。それは来年2012年3月31日を最後に廃止される予定の長野電鉄屋代線です。

アルピコ交通(松本電鉄)、最後の木造駅舎

森口駅

松本電鉄(アルピコ交通)、建替えが迫る森口駅の木造駅舎

 アルピコ交通(松本電鉄)、森口駅の木造駅舎。満身創痍で老朽化が目立ち漆喰が剥がれている所さえあります。

 特徴的なのが車寄せ部分軒下の白い壁で囲われているような部分で、これがあるため小さな車寄せの割にはやたらと高く縦に長くなっています。かつては富山地鉄みたいに、レトロ字体の駅名表示が掲げられていたのでしょうか…。それとも新村駅みたいに筑摩鉄道の稲妻のような社紋が掲げられていたのでしょうか…。ちなみに下から見ると…

アルピコ交通(松本電鉄)・森口駅、車寄せの内部

 空洞となっていました。

アルピコ交通(松本電鉄)・森口駅、今も使われる窓口

 中には小さな待合室と窓口があります。使い込んだ木のカウンターが味わい深いのですが、出札口(切符売場)には意味無く上下2段のカウンターが配置されているのが不思議な印象です。かつては写真奥の方が出札口、手前が手小荷物窓口だったと思われます。かつての手小荷物窓口は元々、低いカウンターしかなかったけど、荷物取扱が廃止された後、何らかの理由で窓口の位置を変える事になり、手小荷物窓口側を新たに出札口とし高い位置にカウンターを増設したのでしょう。そしてお役御免となった元の出札口が塞がれたと言った所なのでしょうが・・・。

 こんな小さな駅でも委託駅でパートと思しきおばちゃんが切符を売っています。ここで折り返しの乗車券を買ったのですが、出てきた切符は何と硬券!駅舎から切符まで昔ながらの風情を堪能できる駅です。駅員のおばちゃんの話では、森口駅では来年の2月から新築工事が着手されるとの事なので、こんな風情を楽しめるのはあと少しです。

新村駅

 次に新村駅を訪れました。広い構内は松本電鉄の一大拠点駅らしさを感じるのですが、やはり気になるのは駅舎新築工事の進み具合。

駅舎建替え工事が始まったアルピコ交通・新村駅

 まだ現駅舎閉鎖、取り壊しとまでは進んでいませんでしたが、駅舎横の新駅舎用地では、基礎部分の工事が始まっていました。たぶん冬になると雪深くなる地域で、そんな時季に急いで工事をするかなあと思ったのですが…。改修工事お知らせの中で、新村駅について「駐輪場改築、駅前整備」ともあるので、駅前の狭隘なスペースを考えれば、現駅舎はたぶん取り壊される運命にあるのでしょう・・・。構内に留置されている元東急の5000系にわざわざ青ガエルカラーを復活させるようなマニア心をくすぐる事をしてくれる位ですから、この貴重な文化財と言える駅舎も・・・と淡い期待を抱いてしまいます。

アルピコ交通(松本電鉄)・新村駅の木造駅舎

 新村駅の木造駅舎。松本電鉄の前身、筑摩鉄道時代からの駅舎。洋風なのですか、何と言っても特徴的なのが筑摩鉄道の社紋が車寄せに埋め込まれ、添えられた赤い稲光のような模様が強烈な印象を与えます。

新村駅、木造駅舎の待合室

 木の壁や窓枠などが古い造りのままの待合室で、中に一歩入るだけで圧倒されるような味わい深い雰囲気が伝わってきます。年代モノの古さですが大切に使い継がれきたのが感じられます。ただ感嘆し、その雰囲気を堪能しました。

長野電鉄、廃線が迫る屋代線の木造駅舎

 松本駅に戻ると特急しなのに乗り、篠ノ井駅でしなの鉄道に乗り換え、長野電鉄の屋代駅に着きました。篠ノ井線にも色々と木造駅舎があり、姨捨駅も昔風に改修されるなど、色々魅かれるモノはあったのですが、後ろ髪をひかれつつも今回はパスしました。

屋代線・屋代駅の味わい深いプラットホーム

 屋代駅の駅舎はしなの鉄道と共同使用で新しめなのですが、長野電鉄の屋代線の方は…

長野電鉄・屋代線、古色蒼然とした木造の上屋があるホーム

 石積みのプラットホームの上の木造の上屋が使い古され、とてつもなくレトロな雰囲気を宿しています。待合室も木造です。今まで2回、屋代線を利用しこのホームを通った時に、凄いホームだなと気になっていたのですが、じっくり見る事ができなく、今回ようやくその機会を作りました。

長野電鉄・屋代線、屋代駅の古色蒼然とした木造上屋

 上屋の下に立つと何十年も昔の駅にタイムスリップしたかのよう。圧倒的な木の質感です。隣のしなの鉄道のホームも木造の上屋があるのですが、きれいに改修されています。共同使用の駅でも屋代線ホームに来ると、まるでタイムスリップしたかのような感覚が迫ってきます。

住宅が駅舎!? 東屋代駅

長野電鉄、住宅一体型の木造駅舎!?東屋代駅

 そして屋代駅の次の駅の東屋代駅で下車しました。車内から見て気になってはいたのですが、今回ようやく初訪問できました。大部分が一般的な家屋のとして使われていたとの事で、駅としてのスペースは写真左側の、取って付けたような木造部分だけという珍駅舎です。恐らく駅舎を改修して人に貸すようになったと言った所なのでしょうが…。

長野電鉄・東屋代駅の木造駅舎に吊るされる唐辛子!!

 今はどうやら人は住んでいないようですが、完全に使われていないという訳でもないようで、干し柿や唐辛子が吊るされ、周囲には作物が育てられるなど、農園的に使われている形跡はありました。

東屋代駅の木造駅舎、住宅部分隅にある駅部分

 東屋代駅隅の駅部分のスペース。軒下を壁で囲った狭いスペースと言った感じなのですが、侮れないレトロさで独特の味わい深い雰囲気があります。出札口跡も残っています。かつては「駅住人」が委託され切符を売っていたのでしょうか…?次の列車まで約1時間半あったのですが、ホームは陽射しがあたたかで、造り付けの木造ベンチでついウトウト…

綿内駅

長野電鉄・屋代線・綿内駅、古色蒼然とした木造駅舎

 綿内駅。古色蒼然とした木造駅舎ですが、特にホーム側は昔のままの造りを色濃く残しなかなかいい雰囲気です。

長野電鉄・綿内駅構内、すっかり草生した側線跡

 駅舎はもちろん、広い側線跡も印象的で、かつては屋代線…、この区間が河東線と呼ばれていた頃は重要拠点だったであろう事が伺えます。今でも片隅に保線区の建物が残っています。しかし側線跡は草生し、携帯電話の基地局が広い側線跡が分断し、屋代線の凋落をまざまざと見せ付けるような光景が虚しく広がっています。

夜の信濃川田駅

夜の長野電鉄・屋代線、信濃川田駅

 そして3回目の訪問となる信濃川田駅へ。前の2回は日中だったので、あえて夜に訪問しました。廃れた感はありあますが、そこがまた渋さを感じさせる趣きのある木造駅舎です。

 12月になると、さすがにこの地域は名古屋より寒く、手がかじかんできます。自動販売機でホットドリンクを買い、待合室でわずかばかりの暖を取ります。

信濃川田駅の木造駅舎、待合室

 夜の闇は、古色蒼然として凄みさえ感じさせる待合室を、私の心により印象深く刻み込みます。この時間に駅にやってくる人はいなく駅は寂しげな雰囲気に包まれていました。

月に見送られ信濃川田駅を後に…

 月に見送られ、屋代線の中でも特に愛着を感じる信濃川田駅を後にしました。たぶんこれが屋代線現役時代最後の訪問になるのだろうと思いつつ…


[2011年12月訪問]

☆ブログランキング参加中!
にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ

コメント

ブログ内検索

RSS & QRコード

作者: Solano

Solano

列車に乗って気ままに鉄道旅。
或る駅でふと降りて、駅舎や構内をあれこれ観察。そしてぶらぶら街歩き。
飛行機でどこか遠くへ行くことも。
日本全国、たまに海外へ…

木造駅舎やローカル線の駅など、駅巡りの旅をよりディープに楽しむ鉄道旅行系ウェブサイト
駅と駅舎の旅写真館
もよろしくお願いします。

ご連絡はMailでどうぞ。

にほんブログ村のランキングに参加中。ポチッ!!とお願いします。
にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ
にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村 旅行ブログ 飛行機旅行・空の旅へ