写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。日本全国、たまに海外へ…
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2月の中欧旅行、チェコのプラハからオーストリアのウィーンまでは列車で移動しました。
利用した列車はプラハ本駅10時39分発、ヨーロッパの国際特急列車「ユーロシティ(EC)」の77番「アントニン・ドヴォルザーク」号。チェコの偉大な作曲家の名前を冠する列車です。
ツアーで渡された切符が2等でしたが、5時間近い旅で折角の機会なので、プラハ本駅の窓口で追加料金を払い1等の切符に変更しました。今回は1人でなはく珍しく同行者(母)がいました。親連れの旅行だと何かと苦労もあると聞きますが、そこそこ旅慣れているので全く心配は要りません。まあ向こうから見れば子連れという解釈なのですが(笑)
出発当日、早めにプラハ本駅に行き駅をぶらぶらと見ていると、通路に人の背丈位の看板があり見てみると…
列車の編成を案内した電光掲示板でした。しかも各車両がリアルなイラストで表示されているのが鉄道ファン心をくすぐり、ズラリと上から下まで並んだ編成をじっくりと眺めます。非コンパートメントの座席車、荷物置きの位置、食堂車など設備が記号で表示されていてます。ヨーロッパだと、号車が何十号車とかとんでもない号車番号が付けられている事も多く、どの位置に何号車がくるか解らず、入線してから自分の車両に急ぐという事もよくあるので、こんな感じで表示されていると解りやすく助かります。
並んだ列車の中に、EC77の編成も表示されていました。それによると電気機関車(凸)を先頭に
凸[1等][食堂車][2等C][2等C][2等][2等]
となっていました。( ※C=コンパートメント)
2等車には、座席のマークが入った車両とそうでない車両があるので、後者はコンパートメントと思われます。1等は1両だけで、座席記号が添えられています。ヨーロッパではコンパートメントも座席としてバラ売りされ、結果として他人と相部屋のようにになる場合もあるので気をもんでいたのですが、開放型の通常の座席のようで安心しました。
指定されたホームに上がるとEC77はもう入線してました。いきなり、料理の写真が掲げられた食堂車が目に飛び込み、早く車内でランチを食べたいという気分にさせられました。ざっと見たところ6両の客車は全てチェコ鉄道(CD※)所有でした。(※C=正しくはČ。Cの上に小さなVが載ったような文字)
先頭に立つ電気機関車はオーストリア鉄道(OBB)の車両。
EC77ウィーン行き1等車の車内は、1‐2の横3列のゆったりと配列で座席が並んでいます。しかし、リクライニング角度や前後の間隔はさほどではなく、日本の普通車よりはゆったりしていますが、新幹線のグリーン車には負けると言った印象です。座席は回転できなく、一定方向に固定されています。アントニン・ドヴォルザークと大層な名前が付いていますが、特別な車両が充当されている訳でも、車内でドヴォルザークの曲が流れている訳ではありません。まあ、ヨーロッパの列車名は、大抵はおまけのようなものです。
車内にはチェコ鉄道の車内誌が吊り下げられていました。チェコ語なので内容は当然解らず…。その他に窓側にゴミ箱やコンセントが備え付けられていました。
1等車は3割程度と空いた状態のままプラハ本駅を後にしました。出発して割と早めに車掌さんが検札にきました。
その十数分後、食堂車のスタッフと思しき人が車内を回っている姿を見かけました。ヨーロッパの食堂車付きの列車では、このようにスタッフが車内を回って食堂車の予約を取って回っている事が多く、声を掛けるとやはりそうとの事。12時に予約を入れました。
ウィーンへ向かって快走する列車から、過ぎ去りゆくチェコの風景を惜しむように眺めました…。
車窓を眺めていると、いつしかランチの12時が近づいていて、もうそろそろと立ち上がり隣の食堂車に向かいました。
自分達の席はどこかと探すと、車端部の4人掛けの席に、12:00うんぬんと記入されたメモ用紙が置かれていました。どうやらここのようです。揺れがやや強い車端部にしなくてもと思いましたが、この方が食堂車の様子を観察できるなと思いながら席につきました。
明るくて気軽に入れる雰囲気です。昼食時でほぼ席は埋まっています。しかし、ざっと見渡すと、しっかりと食事を取る人ばありでなく、コーヒーだけの人、ドリンク+サンドイッチの人もいました。
テーブルの窓際には、ランプがあり、まわりにメニュー、つまようじ、胡椒、造花、POPカードなどが置かれていました。
その中からメニューを取り出して見てみました。めんどくさくない定食にしようという事で、パスタとビーフの定食を一つづつ、食後にハニーケーキーとエスプレッソのセットを2セットを注文。ドリンクはミネラルウォーターをオーダーしました。
チェコの食堂車は、ビュッフェなど車内の供食サービス全般や寝台列車のサービスも手がける、JLVという会社により運営されて、同社のサイトでは列車毎のメニューも公開されています。(チェコ鉄道食堂車のメニュー)。見てみると色々取り揃えていて、注文の手間を省いて定食にしたのですが、ちょっと努力して自分の好きなものをオーダーしても良かったかもしれません。
オーダーが済むと、ナイフ、フォークがセットされ、各種調味料が入ったかごが置かれました。その中に、何故か中国製しょうゆもありました。私達が日本人と見えたためか醤油をこちら側に向けて目立つように置いたのでしょう(笑) だけどヨーロッパの料理としょうゆって合うのだろうか…?
スープとパンが出てきました。適当に頼んだので詳しくは解らないのですが、ビーフのスープでした。
メインデッシュその1、トマトソースのパスタ。皿にドサッと載っている感じです。
メインデッシュその2、ビーフストロガノフの蒸しパン添え(だったと思…)。他でも食べた事があるのですが、こっちのビーフストロガノフはデミグラスソースよりもビネガーを効かせる傾向があるようです。蒸しパンをソースに着けて食べるのが美味しかったです。
そしてデザートのハニーケーキとエスプレッソ。エスプレッソにはビスケットも添えられていました。このハニーケーキはチェコ独特のケーキだそうで、プラハのカフェで「チェコっぽいものは?」と質問して出てきたものがこんな感じのケーキでした。
食事を終え、1等車と反対の方に進んでみると、食堂車の半分はビュッフェになっている事に気づきました。この時は、誰も利用していませんでしたが。食堂車側が現代的に改装されているのに対し、ちょっと古臭さを感じさせますが、無機質な感じの新型車両が多い中、これはこれで悪くないです。
乗降ドアのガラスに差し込まれていた、列車名と行き先表示板。日本で言う方向幕、サボのようなもの。スプリングの画用紙のように造られていて、めくると各列車の名前や行き先が出てくるのでしょう。めくってみたい衝動に駆られます。
列車は国境を越え、オーストリアに入っていました。両国ともシェンゲン協定加盟国なので出入国審査無しで、いつの間にか国境を越えていたという感じです。車内はオーストリアに入ると更に空いてきました。食堂車でお腹を満たした後、母は空いている隣席も独占ししばしのうたた寝を・・・。私は車窓をボーッと眺めて過ごしました。
そして街を丸ごと作り変えているんじゃないかという大工事…、新しいウィーン中央駅の工事現場の中を走り抜け、定刻にウィーンの暫定ターミナル駅となっているウィーン・マイドリング駅に到着しました。楽しいウィーン旅行になる事を期待して、プラットホームに第一歩を標しました。
コメント
最近はこういう国際急行列車然としたEC列車は少なくなりましたね。私はベルリンに住んでいますが、フランスやデンマークなど近隣諸国への国際列車は、だんだんと新幹線化され、残った国際急行列車もECでなく、国内急行列車と同じInter City (IC)に格付けされていたりと寂しい状況です。個人的には窓が大きく室内の広い昔ながらの客車列車が好きなんですけどね。
あまり一等車は使いませんが、二年ほど前、ベルリンからドレスデンへ行ったときは、ハンブルク発ベルリン経由プラハ行きのチェコの車両を使ったECで一等でした。開放室の座席はゆったりとしていましたが、リクライニングは全くありませんでした。日本で言うと戦前のレベルですね。一等は背筋を伸ばして気概で乗るものかもしれません。
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2011-12-31 16:36 Berliner URL 編集