写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。日本全国、たまに海外へ…
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JR西日本の福塩線~芸備線~木次線のルートで、木造駅舎巡りの旅をしてきました。
特に木次線は、以前に「奥出雲おろち号」に乗った時、車内から見た木造駅舎の佇まいが気になっていました。しかしそれから時が過ぎてしまい、このまま放っておくと一つまた一つと駅舎がとどんどん取り壊されていくかもと思い、奥出雲おろち号の旅を楽しみつつ訪問する事にしました。
芸備線の駅をいくつか見た後、芸備線と木次線の接続駅である備後落合駅にやってきました。木次線の備後落合-出雲横田間は1日3往復という乗り鉄の超難所なので、休日を中心に運転される臨時列車・奥出雲おろち号は、すき間を埋める列車として有り難い存在。普通列車扱いなので、青春18きっぷにプラス指定席料金の510円と気軽に利用できるのも嬉しいです。
普通なら奥出雲おろち号の売りである、窓が無く沿線の風を思いっきり受けながら旅を楽しめるトロッコ車両の方を選ぶのでしょうが…
トロッコの方は以前に乗った事もあり、酷暑の中、昨日からの駅巡りで心身共に疲れ気味だったので、冷房の効いた12系客車の座席車の方へ…。トロッコ車+普通の座席車の2両編成ですが、販売されるのは1両分で、後者は避難用車両的な存在という贅沢な編成。晴天なので、みんなトロッコの方に集まり、ほぼ貸切状態。
次の油木駅過ぎると、広島県から県境を越え島根県へ…
車内で涼んでいても、見える車窓風景は一緒。涼しい車内でくつろぎながら緑豊かな山村風景を楽しみます。気分で好きな方を選べるのが奥出雲おろち号のいい所。
車窓風景最大のハイライト、国道314号線の奥出雲おろちループ。木次線もこの区間はスイッチバックを使って超える難所で、色々な技術を駆使し、こんな険しい地形を切り開いているのだなと先人達の偉業に感嘆します。
そして、三段のスイッチバックを下り、出雲坂根駅に進入。この駅で10分弱の停車時間が取られているので、駅前に出てみました。
出雲坂根駅と言えば駅構内に湧き出る天然水の延命水。かつてはプラットホーム脇にありましたが、現在は駅舎外に移設されています。
そして駅舎の外に出店していた露店を物色し…
昼食に焼き鳥と山菜おこわを買いました。最初は買う気無かったのですが、駅の横でおばちゃんが、煙をもうもうと上げて焼き鳥を焼いている姿に食欲をそそられました(笑)。車内に戻りすぐに開封し食べ始めました。美味しかったですが、10分後、八川駅で下車する事を考えると、やや急ぎ目に味わいました。
1時間程、奥出雲おろち号の旅を楽しみ、冷えた車内に後ろ髪を引かれる思いで木造駅舎が残る八川駅で下車しました。
「色々と木造駅舎を見てきたつもりだけど、まだこんなにすごい駅が日本に残されていたのか…」
と驚かされる程、八川駅は昔のままの味わいある造りと雰囲気を留めていました。
改札口跡には木製の木製ラッチが残されたまま。可動式というのが珍しく、改札中は閉じてコの字型になり、内側に駅員さんが立つスペースができ、開けば侵入防止用の柵に。何より使い込まれた木の質感が、駅の歴史を語りかけているかのよう…。
手小荷物窓口跡こそは大きく改装され原形は留めていませんでした。しかし、それ以外、出札口や造り付けの木製の長椅子、天井の板張りは、使い込まれたまま原形を留め、木の質感が迫り来るような味わい深い雰囲気がひしひしと伝わり、まさに感動ものです。昔のままで、まるでタイムスリップしたかのような心境です。この感覚は、駅舎ファンには隠れた名駅舎として知られた山陰本線の湯里駅旧駅舎を彷彿とさせるものがあります。
造り付けの長椅子は古そうで時代感じますが、あちこちにニスがしっかり塗られ、つやつやテカテカしています。むしろテカリ過ぎかも…。でもこの駅舎を大切に使っていこうという心意気が感じられ嬉しく思います。
ウェブ上で見た八川駅の木造駅舎はボロさが目立ち、この駅舎大丈夫だろうかと心配したものです。しかし、きれいに改修されていて一安心。しかも昔の趣が尊重された改修で何より。映画版「砂の器」では、この八川駅の駅舎が亀嵩駅として使われたとの事です。
(※関連ページ: 駅と駅舎の旅写真館・八川駅訪問記)
八川駅で終りではなく、まだまだ素晴らしい木造駅舎が木次線にはあります。
次は、神社を模した和風木造駅舎の出雲横田駅。こちらは名駅舎として有名です。車寄せには太いしめ縄まで付けられ、小さいながらも神社の本殿のように堂々とした雰囲気です。
残念ながら出雲横田駅では30分程度しか時間がなく、駅前も含めじっくり観察できなかったのが、やや心残り…。また訪問できる事を願い、宍道行きの列車に乗り次の駅を目指しました。
下久野駅は廃止された番線が駅ナカ農園として野菜が育てられていました。プラットホームと駅舎の間にレールではなく畑があるというシュールな駅風景!!?だけどこの駅で育った野菜を食べてみたい!
下久野駅の木造駅舎はありふれた素朴な雰囲気ですが、そこがまた見ていてどこかホッとする心地がする、いい駅舎です。
下久野駅の待合室は多少、改修されているのもの、出札口跡は昔のままの造りを残していました。木のカウンターの木目浮くディテールが素晴らしかったです。
そして、備後落合方面に一駅戻り、この日の駅巡りの締めは宿の最寄駅の出雲八代駅。夕陽を浴びて佇む木造駅舎はいっそう印象深く映ります。
ここも近年、改修されたようで、昔の雰囲気を留めつつ、外壁は塗装し直されたのか深い茶色で、どことなく新築と思わすつややかさがあります。
出雲八代駅は窓口跡もよく原形を留めています。出札口が手小荷物窓口跡より引っ込んだように奥に設置されているのが印象的です。待合室は狭く、古い木造駅舎の中ではいちばん狭い部類に入るのでは思えるのですが、少しでもスペースを確保しようと窓口を引っ込めた設計なのでしょうか…?
宿はこの駅の最寄といっても徒歩で20分かかる所…。気持ち暑さがひいたとは言え、まだまだ暑い中、西日で染められた八代の街並みの中を歩き宿に向かいました。
[2012年7月訪問]
出雲空港、広島空港へはJALで!JAL 先得
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