写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。
日本全国、たまに海外へ。
今回、千葉県の小湊鉄道へのアクセスは、JAL国内線に初投入されたB787で成田空港に入り、バスで鶴舞バスターミナルへ入るという一風変わったルートでした。
地図を見ると、バスターミナルから小湊鉄道の最寄り駅は上総鶴舞駅、上総大久保駅、高滝駅の3駅で、それぞれ約4kmほど離れています。どこの駅で第一歩を標そうかと考えましたが、選んだのは高滝駅。うららかな陽気の中、歩き続け高滝湖を渡り、高瀧神社の横を通ってそろそろかと思ったら、もうひと坂ありました。そして坂の上に至り、下りに変わると、桜に包まれた高滝駅が眼下に現われました。
あのルートを選んだからこその高滝駅とのファーストコンタクトで、まさに幸運。満開の桜並木に包まれる高滝駅の風景に酔いしれるように堪能しました。
小1時間ほど高滝駅にいて、上総中野行きの列車に乗り込みました。車内は席が8割位埋まり、しかも乗り鉄や観光客など、ほぼ行楽一色のムード。私鉄ローカル線の意外な賑わいに驚きましたが、春めき桜が満開で、首都圏から日帰りできる場所で、また小港鉄道沿線で開催されている「中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス」の影響もあったのかもしれまん。
最初、月崎駅で降りようと思ったのですが、近くに座っていたグループも月崎駅で下車するみたいで、落ち着けそうもありません。そして列車が月崎駅構内に列車が進入すると、20人以上の人がレンズの砲列を向けているのにびっくり。この駅はのんびりとした気分でじっくり堪能したかったので、後回しにする事にしました。
養老渓谷駅で折り返し、上総大久保駅で下車。無人駅で駅至近は家屋もまばらな秘境駅な雰囲気。側線ホームと思しき空地に、何本もの桜が飢えられていました。
そしてようやく月崎駅で下車しました。昼間とは違い、日が傾き始めたこの頃、人は随分と減り、落ち着いた雰囲気を取り戻しつつありました。
夕陽に彩られた駅に桜が華やかに咲き、列車が進入した風景をどこから撮ろうか迷いました。やはり駅施設を絡めるのが自分らしいと思い、菜の花畑のようになった側線跡を入れて撮りました。
沿線は成田空港近い事もあり、いくつもの旅客機がジェットエンジンの音を、私の耳に残し飛び去っていきました。
そして、もう月崎駅から立ち去ろうと思っていると、ライトアップされた桜が日が沈みゆく毎に、刻一刻と昼とは違った艶やかな表情へと変化していきます。その様にどうしようもなく魅かれ、列車を1本遅らしあと1時間いる事にしました。昼の喧騒から完全に解き放たれた駅で、ホームのベンチに1人座り心ゆくまで堪能しました。でも離れる時は、やはり立ち去り難いと思つつ列車に乗り込みました。
次の日、まず上総鶴舞駅で下車。昨日の賑わいを考えると、土曜日のこの日は相当な混雑が予想されます。特に関東百選の駅に認定され、メディアのロケも多く人気のある上総鶴舞駅は特にそうだろうと思い、早めに行くべきと思いました。
上総鶴舞駅構内、上総中野方面のレールに沿って桜並木があります。十数年前、初めてこの駅を訪問した時、この桜たちは植樹されてから数年しか経っていなく、簡単に折れてしまいそうなほど、なよなよしていたものでした。それがよくここまで成長したものです。でもまだ大きくなりそうです。またいつかの春、この駅を訪ねるのが楽しみです。そして、その頃、私はどうなっているのだろうと先の事を思うと、なんだか気が遠くなってきます。
この駅は昔はそこそこの規模の駅だったようで、廃ホーム跡や倉庫跡など、かつての賑わいを感じさせる構内跡が残っています。そしてそれらが打棄てられ、もう幾つもの歳月が流れたのでしょう…。かつて駅員さんや保線員さんが忙しく働いた構内は、まるでそこだけ野山に還ったかのごとく草が生い茂り、桜や菜の花が春を謳歌しています。その風景の中に身を置いていると、まるで上総鶴舞駅とは別世界の、自然豊かな田舎の野にいるかのような気分に…。癒される心地がします。
馬立駅。おじいちゃんとお孫さん。見事な桜をバックに記念撮影。
上総山田駅では枝垂桜が出迎えてくれました。素朴な木製駅名標によりレトロな味わいを添えるよう。
海土有木駅。読み方は「あまありき」で、どこか魅かれる駅名です。旧貨物倉庫に寄り添う桜が満開で、この小湊鉄道の旅でいくつもの桜を堪能しましたが、この桜がいちばん満開の見頃で、奇麗に咲いているものだと、私の目に映りました。
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