山陰本線、兵庫県日本海側の名物秘境駅を巡る旅

 鳥取駅で青春18きっぷを購入し、山陰本線の普通列車に乗り東を目指します。使いかけの青春18きっぷを金券屋で購入した事はあっても、5日(回)分をまるまる購入したのは実に数年振り。

県境の秘境駅、居組駅

 鳥取県から県境を越え兵庫県に入ると、最初の駅が居組駅です。

兵庫県、鳥取県境近くの秘境駅、居組駅の木造駅舎

 駅からは人家など建物が目に入らず、緑の山々に封じられているかのような閉塞感のある風景で、秘境駅の趣が漂います。

 居組駅は前から訪れてみたかった駅です。木造駅舎が残っているというのもありますが…

兵庫県、山陰本線の秘境駅・居組駅、駅舎前の池庭跡

 池が枯れた庭園があるという事を聞いていたからです(笑) 駅へ入る通路の両脇に生垣で囲まれた庭園がある風景は、写真で見た時から印象的に思っていました。しかし、現在ではその荒廃振りが侘しくもあります。

 この駅に到着した時から、蜂がぶんぶん飛んでいて、鬱陶しいので叩き落してやろうかと思いましたが、一匹ではないようなので諦め、ブーンという音が接近する度、気にしながら駅をあれこれ見ました。蜂は幸いにも??スズメバチではなく足長バチのようです。

 駅前からは一本の道が伸びています。蜂から逃れるように、そちらの方に足を進めてみました。

 道はゆるやかな下り坂がひたすら続きます。真夏で暑い日々が続きますが、道は鬱蒼とした木々で木陰ができ、時折ゆるやかな風が頬を撫でるように通り過ぎます。午前中、暑さはまだマシで、昨日から暑さにやられ続けた身には、どこかほっとした気持ちが混じります。

居組駅から下り徒歩約20分の集落

 東浜居組道路の高架下を通ると、集落が見えてきました。さすがに喉が渇き、第一村人ならぬ第一自販機を求めつつ歩みを進めると、駅から20分位で集落の中心に達しました。木造の民家が立ち並び、小学校やお寺もあり、人の気配も漂う昔ながらの風情を残しています。このまま道を更に進むと海に出るようです。

居組の集落から見た居組駅の方は山の風景…

 さて…、来た道を戻らなくてはいけません。方向転換し駅の方を向くと、そこは緑深い山…。坂を上りあそこを目指さなければいけないと思うと、さすがにうんざり。でも、地元の人々は列車に乗るため、暑い日も雨の日も通い続けた道です。

 何とか間に合い、枯池の観察などをしていると、次の上り列車の気配がしました。

海の絶景・鎧駅

 40分位、空調の効いた車内で涼を取りつつ車窓を眺め、海沿いの鎧駅で下車しました。

JR西日本・山陰本線、鎧駅のプラットホーム

 2面2線の相対式ホームや、切り欠きの側線ホームもある構内ですが、今や駅舎に面した内陸側の1線しか使われていません。

 ローカル駅としては珍しく、地下道で反対ホームと結ばれています。海側の反対ホームが廃止された今も利用でき、渡ってみると…

山陰本線・鎧駅プラットホームから眺める海と空の絶景

 青春18きっぷのポスターにも登場した海と空が風景がまさに眼前に!! 入り江に囲まれた小さな漁村と、日本海が広がる風景が一望の下にできる風景は、日本の原風景。エメラルドグリーンの透き通った海の色がこの上もなくきれいで、心が吸い寄せられます。きっと天然の良港を求め、この入り江に辿り着いたのでしょう。こんなに険しい地形の隙間を切り開き、人は魚を採り生計を立てているのだと思うと、人はなんて逞しいのかと驚嘆せずにはいられません。

 どうしてもあの漁村に下りてみたくなります。海側の側線ホーム跡の上を進むと、木造の建物の横に、歩道がありました。道の先は海で、まるで海に落ちていくかのような道…

鎧駅とその下の集落を結んだインクライン跡

 道の途上の斜面に、ケーブルカーか何かを思わすコンクリートの遺構が残っていました。これは、下の漁村から上にある鎧駅を繋いでいたインクライン(傾斜鉄道)の遺構です。かつては水揚げされた魚を、インクラインの車両に載せ鎧駅まで運び、貨物列車に載せ出荷していました。コンクリートがラックレールのように見えますが、この上にレールが敷かれていた、しかも複線だったようです。

鎧駅から入り江に降りた所にある漁村の集落

 そして海沿いの集落に到達しました。20軒ほどの民家や漁港が肩を寄せ合うように集まるひっそりとした集落です。

 狭い集落内をぶらぶらして、同じ道を鎧駅に戻ります。やはり上り坂が億劫ですが、透き通った海やささやかな漁村のある風景が、上るほどに変っていくのが味わい深く、何度も振り返りながら坂を上りました。

海と空の駅、餘部駅へ…

 鎧駅からは一駅西に戻り、地上40mのコンクリート橋・余部橋梁から日本海の絶景を望むとすぐに餘部駅です。餘部駅は余部橋梁のすぐ横にあります。1代前の余部橋梁は、1912年に完成・開通し、東洋一とも讃えられた鉄製トレッスルで通称「余部鉄橋」と呼ばれていました。しかし、2010年にコンクリートの新橋梁に切り替えとなりました。

 私は余部鉄橋の現役時代に訪れた事もあり、今回の旅ではいいかなと思っていました。しかし、12時過ぎの上り快速列車は鎧駅を通過してしまうので、3時間近く鎧駅にいるなら、まあ折角なので餘部駅にでも見に折り返しそうかと思いつきました。

JR西日本・山陰本線・餘部駅、観光客で賑わう秘境駅!?

 餘部駅に到着すると、秘境駅とも言える駅が観光客で賑わっている様子にびっくり!余部鉄橋は橋脚2脚を残し展望台に改修し「空の駅」として公開されています。それにしても、なんでこんなに人がいるのかと思ったら、どうやら橋梁の下に「道の駅あまるべ」があり、「空の駅」と共にアピールしているからのようです。夏休みという事もあり、賑わっているようです。

餘部駅、余部鉄橋の遺構を利用した展望台「空の駅」

 旧橋梁の一部を利用した展望台に足を進めて見ました。かつて何度も列車で通った事もある橋に、こうして足を踏み入れるのは何だかとても不思議な気分です。いちばん最後に通ったのは、2006年、出雲市行きの寝台特急・出雲でです。

餘部駅、空の駅こと旧余部鉄橋から見下ろす集落

 展望台の通路として整備された橋桁の両側には柵が設置され、その外には保線員用通路みたいなもの設置され、また更に柵が設置され、かつては強い風に晒された橋梁も、安全対策は万全です。だけど、ちょっと厳重すぎるかなと…。しかし、ごく一部は保線員通路みたいな部分に乗る事もできます。網の目のようなその部分に立つと、足の下には橋脚の赤い鉄骨が透けて見え、海や集落がより迫ってくる迫力のある風景でした。

">餘部駅、保存された余部鉄橋とコンクリートの餘部橋梁

 やはり坂を下り新旧の余部橋梁を見上げてみます。完全ではないのが残念とは言え、赤い鉄骨で組また様は武骨で、そして一つ一つリベットを打ち丁寧に組み上げられた均整ある姿は、独特の美しさを感じます。これだけでもよく残してくれたものです。

餘部駅、余部鉄橋の遺構と駅側の集落・日本海

一路東へ…

 餘部駅訪問をもって、この日のハイライトは見終えたも同然でした。三度、余部橋梁を渡り、再び鎧駅をかすめ…

JR西日本・山陰本線、佐津駅の木造駅舎 JR西日本・山陰本線、竹野駅の木造駅舎

 途中、木造駅舎が残る佐津駅や竹野駅で下車し、ちょっと駅を見た以外は、ひたすら東を目指しました。青春18きっぷの旅なので、特急列車に乗る事も許されず、ちょっと苦行めいた旅路。だけど、この気だるさが青春18きっぷの旅の醍醐味なのかもしれません…。暑さに晒され続け疲れた体をシートに沈め、地元の人々や旅人で賑わう車内が少し遠ざかった所にあるようなボーっとした気分になりながら、暮れゆく車窓を眺め続けました。


[2015年8月訪問]

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作者: Solano

Solano

列車に乗って気ままに鉄道旅。
或る駅でふと降りて、駅舎や構内をあれこれ観察。そしてぶらぶら街歩き。
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