美祢線の木造駅舎を巡りつつ栄枯盛衰に思い馳せる…

1時間ほどの駅間徒歩の末、四郎ヶ原駅へ…

 厚保駅から歩き続け、鬱蒼とした道路を抜け、1時間弱で民家が点在する農村に出ました。美祢線のレールが見えると、後は沿って進むだけ。ようやく四郎ヶ原駅の姿が見えました。

美祢線、駅間徒歩の末、辿り着いた四郎ヶ原駅

 無人駅でトタンや新建材で修復され継ぎはぎで古い感じはしますが、堂々たる大きさの木造駅舎美祢線はかつて石灰石や石炭輸送の貨物列車が多数運行されていたので、行き違いなど運行管理のための、途中駅も規模が大きなものとなっていたのでしょうか…?

 厚保駅が街の外れに追いやられている感があり、やや気の毒の立地ですが、こちらは人里の中にある感。とは言っても、ひっそりとした集落でははありますが。

 外に地名の由来を標した看板があり、このあたりは広い野原で、そこに四郎という者が住んでいたからとの事です。

JR西日本・美祢線・四郎ヶ原駅の木造駅舎、待合室内部

 待合室は広く、特に天井の高さが印象的。

美祢線・四郎ヶ原駅の木造駅舎、ホーム側の木の上屋

 駅舎ホーム側の上家は木の質感が露の古いまま!長年、ここに佇み続ける木造駅舎の風情に溢れます。

美祢線・四郎ヶ原駅の駅舎、明治表記の上屋の建物財産標

 木目浮き出る柱には国鉄時代の建物財産標が取り付けられたままでした。この上屋の財産標で、標された年月は明治38年9月30日!

美祢線の栄光盛衰に想いはせつつ古駅巡礼

 小一時間ほど四郎ヶ原駅に滞在し、長門市方面行きの列車に乗りました。座席が程よく埋まっていたため、列車後部の逆かぶりつきの位置を確保しました。

美祢線、かつて大嶺支線が分岐していた南大嶺駅ホーム

 かつて大嶺支線が分岐していた南大嶺駅。1線の両サイドを二つのホームで挟む国鉄・JR系では珍しいプラットホームです。これは大嶺支線廃線後、駅舎側の1番線を廃し、埋め立て2番線までホームを拡張したため。そのため、拡張された形の1番線が2番線となり、元の2番線は乗降扱い無し。そしていちばん遠い3番線はそのままという珍構内配線となっています。

美祢線の主要駅、美祢駅のホーム。廃止番線も。

 そして次は、美祢線いちばんの駅、美祢駅。コンクリートの駅舎があり、配線も3線2面と主要駅のいでたちですが、島式の2線は使用停止で、構内通路は廃れ、レールが虚しく錆び付いています。きっと昔は貨物列車が賑やかに行きかった事でしょう…。私が見る事が無かった美祢線の華やかな時代を思い浮かべていました。

JR西日本・美祢線、風格ある木造駅舎が残る長門湯本駅

 そして長門湯本駅へ。十数年前、山陰本線を旅した時、この木造駅舎を見るためちょっと道をそらしやって来たものです。今回の旅では、この駅に訪れる予定は無かったのですが、厚保駅で列車に乗り遅れたためプランを組み直し訪れる事に…

  正面からホーム側に巡らされた付け庇が回廊のような印象を与え風格を感じさせるのはあの時のまま!趣き溢れる姿に訪れて良かったと思いました。

 「湯本」の名からから連想できるように、この駅は山口県有数の名湯、湯本温泉の玄関口の駅です。湯本温泉では近年、安部総理とロシアのプーチン大統領の日露首脳会談が開催され、プーチン大統領の宿泊地にもなりました。しかし、駅は無人駅な上、温泉街からやや離れているため、駅は今では寂しげな雰囲気が漂います。

美祢線・長門湯本駅に乗り付ける湯本温泉ホテルの送迎バス

 …と思っていたら、この日は帰る宿泊客を乗せた旅館の送迎車が乗りつけ、いっとき、観光地の駅らしい賑やかな雰囲気に。

 この長門湯本駅、近い将来には大きく変わるかもしれません。…と言うのも、星野リゾートの湯本温泉進出が発表され、それに伴い温泉街のイノベーションも計画され、その中に長門湯本駅をより温泉街近くに移転させる案も出ているからです。美祢線の活性化にはいい案で、萩と言った周辺の観光地や、山陽新幹線の厚狭駅との接続も含め、鉄道を利用した周遊観光が期待できます。しかし、趣きある木造駅舎の将来も気になります。

JR西日本・美祢線、柚子並木が印象的な渋木駅

 そして数駅、厚狭方面に戻り、渋木駅で下車しました。すると、ホーム沿いに植えられた柚子並木のお出迎え。

JR美祢線・渋木駅、改修の跡が目立つ木造駅舎

 反対の長門市方面行きのホーム側を見ると、先に訪れた3駅よりもだいぶこじんまりとした木造駅舎がありました。外壁が新建材などで補修され、パッと見の木造駅舎らしい趣はいまひとつでしたが…

JR美祢線・渋木駅の木造駅舎、窓枠は古い木のまま!

 窓枠は古びた木のまま。使い古された質感に深い味わいを感じます。まさにその名の通りの駅!改修されていても侮れません。

 しかもかまぼこ板のような木の建物財産標が付けられたままです。そこには
「渋停建第一二号 本屋」
と標されていました。
「シブテイケン…!?!?」
察するに、渋=渋木駅?、停=停車場?、建=建物財産標? …でしょうか。 第一二というのは、渋木駅にかつて色々あった構造物の内の登録上十二番目のもので、それが本屋、つまりはこの木造駅舎という事なのでしょう。何かと略されたユニークな様式のようです。

 それにしても、仮に十二の構造物だとして、例えば便所であったり、詰所、駅員宿舎、反対ホーム待合所の上屋だったりしたのでしょう。今では、昔からの施設は木造駅舎のみ…。今でこそローカル線の小さな無人駅ですが、かつての隆盛が偲ばれます。

美祢線・渋木駅の木造駅舎と目の前の音信川

 渋木駅は背後を小高い山に囲まれ、目の前を音信川が横切る、少々隔絶感のある田舎風景が印象的な立地。しかし川を越え少し歩けば、家屋が散在する集落があり、国道316号線が通ります。その中に運良く商店があり、パンや飲み物を購入し駅に戻りました。春の足音聞こえてきそうな暖かな陽射しの下、誰も来ない静かな駅でのんびりと遅いランチを楽しみました。


[2018年2月訪問]


美祢線駅巡りの旅・前編はこちらへ
意外と木造駅舎銀座のローカル線!? 美祢線の旅(1)~厚保駅とレトロな郵便局跡~

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作者: Solano

Solano

列車に乗って気ままに鉄道旅。
或る駅でふと降りて、駅舎や構内をあれこれ観察。そしてぶらぶら街歩き。
飛行機でどこか遠くへ行くことも。
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