写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。日本全国、たまに海外へ…
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首都のモスクワとロマノフ王朝の都が置かれたサンクトペテルブルグという、ロシアの第一と第二の都市。今回の移動は最新車両が投入された高速列車のサプサンのファーストクラス(1等車)を利用します。
しかしサプサン号以外にも、夜行列車では驚く程、多彩な列車があり、運転本数も多く目を見張るほど。
まずソ連時代からの「赤い矢」号。このいかにも共産主義の香り漂う名前の列車には、前回22年前のロシア旅行で乗った事があります。2等寝台車だったのですが、2段ベッドでベッド幅も狭くなく、ヨーロッパの簡易寝台のクシェットよりも快適でした。また朝食ボックスが提供されたのは、財布をスラれ、食費にも事欠いていた私には特に有難く思いました。その時の復路のモスクワ行きは「3番」の列車だったのですが、車内販売で紅茶を買い、車端の給湯器からお湯を注ぎ入れて飲んだ思い出があります。
他には最新鋭の2階建て車両による寝台列車。豪華寝台列車のグランドエクスプレスも運行されています。
東海道新幹線の利便性が向上し、夜行バスが急速に発展し、東京と京都・大阪と言った、日本の2大都市圏を行き来する夜行列車は今やゼロ (細かい事を言えば、上りのサンライズエクスプレスが深夜の大阪駅に止まりますが…)。モスクワとサンクトペテルブルグも航空便があり、高頻度運転ではないものの、昼間にはサプサンも運行されている中、あれだけ夜行列車が多く生き残っているのは不思議で、夜行列車が絶滅寸前の日本に住む私にはとても羨ましくもあります。
早朝、ホテルを出て地下鉄に乗り、サンクトペテルブルグ方面への列車が発着するモスクワ・レニングラード駅へ…
駅に入ると、列車に乗るため2度のセキュリティチェックを受け、ようやくプラットホームに着きました。
プラットホームで電光掲示板を見ると、今日の7時2分発のサプサンは何と20両編成!1編成10両ですが、それが2ユニットも。16両編成の新幹線を上回る長さに驚かされました。
私がホームに着いて、程なくするとサプサンがゆっくりと入線してきました。
ヨーロッパの号車表記は解りづらく、プリントアウトされたEチケットを見ても何号車かは解りません。ファーストクラスは1編成1両で、車端部にあるので識別は容易で、とりあえず編成に沿って歩いてみる事にしました。
所々で制服を着たエアラインCAのようなスタッフが扉の前に立っていたので、途中で聞いてみると、ずっとあっちとの事。どうやらいちばん先頭のようで、20両分歩かされる羽目に…。まあその分、サンクトペテルブルグでは一番近いのですが。
やっと中間部の、編成の連結部、11号車と10号車に至りました。これでやっと半分です。ですが、異国の駅の雰囲気を味わいながら歩くのは楽しく、やがて先頭車のファーストクラスに到達しました。
入口のスタッフにチケットを提示し、車内に入りました。
客室は1-2と横3列で、リクライニングソファのような大きな座席がゆったりと並んでいます。
指定された3番の座席は1人掛けで、進行方向に対し最後列。窓と席のズレも大きくなく、車内の観察もできる、鉄道ファンにとっては良席?です。シート間隔はこれでもかと言う位広く、座って足を伸ばしても全く届きません。
座席にはアメニティキットが置かれていました。サプサンのイラストが描かれた小さな白い箱はイヤホン。あとスリッパと、耳栓やアイマスクなどが入ったポーチもありました。
そして定刻の7時2分、多くの乗客を載せ、サプサンはサンクトペテルブルグに向け出発しました。
程なくして、アテンダントさんが食事のメニューを配りに来ました。きれいにデザインされた写真付きのメニューは食指そそります。
メニューはセットメニュー3種類で、朝食向けの内容。実は、旅行会社に手配をお願いした時、メニューのチョイスは聞かれていて、既に返答していたのですが、スタッフは確認する素振りは全くありませんでした。まあ、恐らくは当日の積載内容の参考程度に、聞いたのでしょうが。セットの枠に関係なく、アレとコレを選びたいなあと迷いつつも、1番のセットを選びました。
ドリンクは、赤白ワイン、スパークリングワイン、ビールといったアルコールをはじめ、コーラーやジュースも揃えていました。
食事の前に、チーズやナッツのワゴンサービスがありました。お酒を飲む人向けなのでしょうが、私は飲みません。ですが適当にいくつか頂きました。
そしてメインのトレー。オーツ麦のサラダっぽい一皿。カッテージチーズのラズベリーソース添え。ヨーグルト、パン。美味しくいただきました。肉類が無く、よく考えるとこれはベジタリアンメニューのよう。そういえば旅行会社に食事のチョイスを聞かれた時、選択肢にベジタリアンがありました。
デザートのクリームのピーチ添え、ホットコーヒー
食事を取りしばらくすると、朝早かった事もあり眠気がまわってきました。シートをフルリクライニングさせ、眠りの体制に入りました。完全に豚になるコースです(笑)
ゆったりとした快適なシートがあって、飲食のサービスもあり。ヨーロッパの1等車を越える内容で、サプサンのファーストクラスはまさにロシアのグランクラスです。
1時間ちょっと眠ったのでしょうか…。目が覚めると、このまま座っているのも退屈と思い、ビュッフェを目指しつつ、車内を見てまわる事にしてみました。
2両目はビジネスクラス。2-2の横4列の黒いシートが並んでいます。ファーストクラスと較べると、さすがに窮屈感があります。
そして普通席が何両か続きました。ほぼ満席状態のようで、多くの人が座っていました。
ビュッフェ車両に入ると、テーブルのあるボックスシートが続き、塩、こしょうといった卓上調味料が置かれていました。後で知ったのですが、こちらも普通席として販売されています。販売されない3ボックスがあり、それが食事利用者のためのシートなのでしょう。
そしてビュッフェに到達しました。割とヒマなようで、エプロンをしたスタッフが売店窓口に寄りかかってカウンター内のスタッフを話をしています。ヨーロッパでは珍しくない光景ですが、日本では苦情が来てしまう光景に、何で日本はこんなにぎすぎすしているんだと奇妙な気持ちに…。
コーヒーなどの各種飲料の他、お酒やお菓子も販売され、壁には色とりどりの食事のメニューが掲示されていました。調理済みのものを加熱、盛り付け等をするだけなのでしょうが、機内食のように本格的な食事が楽しめるようです。
「ああ、パンケーキ食べたい…」
と思いつつ、控えねばと思い、チョコレートを買って席に戻りました。
1等車に戻ると、気になっていた車端部のラックに置かれていた車内誌を手に取り、自席に戻りました。
席に戻り、紅茶を頼みました。もちろん1等車の特権で、無料サービスです。
車内誌は2冊あり、1つは物販誌。もう1つは色々な記事やサービス等を紹介した車内誌で、エアラインのような感じ。特に車内誌はサプサンの、サービスなど各クラスのサービスが紹介され、シートピッチや座席のリクライニング角度まで細かく紹介されている程。
上の写真はビジネスクラスで、ファーストクラスと普通席の中間クラスにあたります。
よく見ていると、普通席にはエコノミークラスとベーシッククラスがあり、同じ型のシートながら、後者の方がシート間隔がやや狭くなっています。もしかしたらベーシッククラスは格安運賃用のシートなのかもしれません。エコノミークラスでも「+ (プラス)」サービスだと食事サービスが含まれていたり、ペット同伴者用の座席があったりするようです。また最後尾の10号車はエコノミープラスなのですが、運転席後部の7席は子供、もしくは子供同伴者の専用セクションとなっているようです。
そしてエコノミークラスとビジネスクラスはシートスペックは全く一緒。ただ、ビジネスクラスの方は、食事サービスや駅でのラウンジ利用、車内Wi-Fi接続といった付帯サービスで差をつけているようです。
そしてファーストクラス、体験している通りなのですが、目を引いたのが駅でラウンジが利用できるというアイコン。モスクワ・レニングラード駅で、プラットホームに急いでいる時、横目で「ラウンジ」という看板が目に入り気になっていましたが、時間が無く素通りしてしまいました。
複雑…、というかサプサンには利用者のニーズに合わせた多彩なサービスがあるようです。
スマートフォンをWi-Fiにつなげ、紅茶を飲みながら座席でくつろぎます。晴れ渡った車窓を見ると、同じ方向に向かう近郊列車としばし併走。
建物が増え、これまでと違った街の風景が広がり、しばらくするとサンクトペテルブルグ・モスクワ駅に到着しました。
サプサンが入線したモスクワ駅は、私の記憶の中とは違い随分と近代的な雰囲気に…。
だけど駅舎の中に入ると、ホールかアリーナのようなただっ広いコンコースはあの時の記憶のまま。その時は薄暗くやや寂れたがらんどうのような雰囲気でした。だけど今は両側や、コンコースの中央でも多くの店が営業していて、首都モスクワへの列車が発着するターミナル駅らしい賑やかさに溢れていました。
[2018年9月訪問]
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