写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。
日本全国、たまに海外へ。
前日、奥出雲おろち号に乗りつつ木次線の木造駅舎を巡り、出雲八代駅近くの宿に宿泊しました
そして翌朝、出雲八代駅に戻って来ました。
ホーム側の木製ベンチに座り、カロリーメイトと通り道で買った缶コーヒーでシンプルな朝食。朝の木造駅舎でまったりとしたひとときを過ごしました。学校は夏休みですが、部活か何かの高校生数人と、地元中年女性2名が列車を待っていて、駅はちょっとだけ賑わっていました。
(※関連ページ: 駅と駅舎の旅写真館・出雲八代駅訪問記)
のどかな山里の田園風景を眺めながら気動車に揺られました。
8時前に亀嵩駅に到着しました。駅には立派な枯池が・・・。そんなものより(笑) 亀嵩駅と言えば松本清張の小説「砂の器」に登場した事と、旧駅事務室で営業する出雲そば屋「扇屋そば」が有名です。
お店は9時開店で乗る列車が9時22分なので、店内では無理でも、お持ち帰りという方法もあります。開店時間前でしたが、店員さんに、列車に間に合うよう持ち帰り弁当をお願いしました。
その間、駅をあれこれ観察します…。
駅舎は木造モルタルで、待合室の壁の板張りなどあちこちが改修されていますが、昔の駅の雰囲気がよく残っています。
切符売場の窓口まわりは、昔のままの造り。使い込まれた木の味わいがひしひしと伝わってきます。蕎麦屋の店舗となった旧駅事務室では、店員さんが開店準備の真っ最中です。
そして扇屋さんの手打ちそば弁当を無事に受け取り、9時22分の列車に乗り込みました。2度目の朝食か?ちょっと早めの10時のおやつか?車内でしっかり頂きました。いや~美味しかったです、最初は亀嵩駅に来る予定は無かったのですが、来てよかったです。
この亀嵩駅名物の出雲そばは、乗車列車の時刻を伝え予約しておけば、ホームまで届けてくれます。(※詳しくは扇屋そば・ホームページで。)
車内でそばをたいらげ日登駅で下車しました。
ここも窓口がほぼ原形を留めてました。前日の出雲八代駅とほぼ同型。それにしても、この使い込まれた木のむせ返るような質感!幾重もの木目が浮かび上がり、濃く渋い茶色が素晴らしいです。待合室が狭いにも関わらず、窓口どまん前に公衆電話が置かれています。しかし、そんなのをものともしない程、木の質感が迫り、凄いモノを宿してます。
私が座っている、待合室のこの木製の造り付けベンチも同じくかなり古びています。老朽化が進んだためか、脚はジャッキに取り替えられていますが、何とかして使っていこうという姿勢が、木造駅舎好きとしてはとても嬉しく思います。
日登駅の木造駅舎は増築され、何かの会社の事務所として使われていますが、それでも雰囲気はなかなかのもの。
あれこれ撮影していると、食べ物が詰まれた車内販売のワゴンを押した人がやってきました。これは、もうすぐこの駅にやってくる備後落合行きの奥出雲おろち号の停車中、乗客に販売するためにやってきたのかと思いました。ちらりと地元産の食べ物が見え、後で買おうと思っていました。
間もなく奥出雲おろち号がやってきて、そして出発すると、販売員さんはそこにはいませんでした。どうやら奥出雲おろち号に乗り込んでしまったよう。取らぬ狸の皮算用…
最後に訪れたのが宍道駅から2つ手前の加茂中駅。ここまで来ると沿線風景は田舎というより、もう街中。加茂中駅の駅舎は、横長でやや大きめ。サッシ窓になっていたり、待合室は改装されていたりで、他の木次線の木造駅舎に比べたら、趣き深さは負ける感…。でもそれは他の木造駅舎があまりに際立っているためで、この駅も改修されながらも外壁や柱などが木のままで、苦労して使い継がれきた雰囲気は、また違った味わいを感じさせます。
街をひとまわりして加茂中駅に戻ってきました。
この駅で印象的だったのが、ホームが築堤上で、駅舎はそれより少し低い所にある構造のため、築堤斜面やホームへのスロープがとても緑豊かだった事です。駅舎ホーム側のベンチに座り眺めているとまるで公園にいるような気分…。他にも、花が植えられた植木鉢がいっぱいあったり、軒を支える柱にバラのつるがからまっていたりと、何かと緑が印象的な駅でした。 暑い日差しから逃れるように、軒下のベンチに座り、木々を見ていると、まるで森林浴をしているような気分になりました。
木次線に残存した木造駅舎の行く末を心配していた訳ですが、今ある駅舎は当分は大丈夫そうという印象を持ちました。むしろ、取り壊されてもおかしくないのに、よくあれだけ木造駅舎らしい雰囲気を残しながらリニューアルしてるなと思いました。
推測ですが、これには奥出雲おろち号の存在が大きいのではと思いました。2日間、駅を巡り、奥出雲おろち号はただ単に木次線の観光列車としてではなく、この地域の観光資源として盛り上げていこうという雰囲気を感じました。それに際し、車内から見える木造駅舎は、昔懐かしい雰囲気を演出しようとしたのではと思います。まあ、誇張するまでもなく、元々そういう趣きはは持っていたのですが。
秘境駅の備後落合駅、昔懐かしい出雲八代駅、下久野駅、日登駅、延命水の出雲坂根駅、奥出雲町の物産販売所のある出雲三成駅、駅そばの亀嵩駅、和風名駅舎の出雲横田駅と、木次線の駅はバラエティに富んでいて、駅巡りも楽しめるおすすめのローカル線です。
[2012年7月訪問]
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