写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。日本全国、たまに海外へ…
※ 現在、一部の記事をメインサイトに移転する作業を進めています。
JR北海道が2015年初夏あたりに、極端に利用が少ない駅を廃止する方針を表明してから、ヤバいんじゃないかと真っ先に思い浮かんだ石北本線・白滝シリーズの秘境駅…、すなわち上白滝駅、旧白滝駅、下白滝駅の3駅。
しばらくして予想通りと言うか、2016年3月のダイヤ改正で、その白滝3駅が廃止の見込みと報道され、そして正式に廃止が決定しました。廃止日は3月26日、最終営業日は3月25日となります。
私は唯一生き残る白滝駅も含め、白滝シリーズの4駅を既に訪問していました。
「北海道の駅たるもの、やはり雪に覆われた冬の風景を見てこそ…。」
そう思い、最後の冬を過ごしている白滝シリーズの廃止3駅に別れを告げる旅に出る事にしました。
秘境駅銀座とも言えるこの区間を通る普通列車は少なく、停車する列車が片手で数えてもなお余ります。そんな白滝3駅をどうまわろうかと悩んだのですが、上川駅を早朝に出る普通列車「4621D」に乗り、まず上白滝駅で下車する事にしました。上川‐白滝間の普通列車は、早朝下りの4621Dと、夕方上りの4626Dのたったの1往復。特別快速のきたみ号を含めば2往復になりますが、その間の上白滝駅には停車しません。つまり上白滝駅は1日上下1本ずつの列車しか無いという事。約3年に上白滝駅を訪問した時は上りの4626Dを利用したので、今回はあえて早朝の下りを利用する事にしました。
夜明け前、宿をチェックアウトし外に出ると、いきなり零下の冷た過ぎる空気に身を縮ませました。空を見ると、丸い月が冴え冴えと輝いています。美しい月に見とれつつ、雪で滑らないように上川駅に歩きました。
1番ホームには4両のキハ40形気動車が控えいました。この区間においては意外な長大編成に思えますが、その内のどれかが遠軽から列車番号を変え、網走行きとなる4621Dで、それ以外は旭川行き。間違えると、もう翌日しか列車が無く、目も当てられない大失態となるので、慎重に行き先を確認しました。念のために網走方の2両を見ると、「網走」のサボを掲げていました。この2両が4621Dとなる編成です。
これから向かう東の空を見ると、澄んだ空がほんのり赤くに染められている頃でした。良かった!昨日、留萌本線で散々、雪に降られたので、2区間の駅間徒歩を含む、ハードな白滝シリーズ訪問の先行きを危惧していましたが、とりあえずは大丈夫のよう…。
そして西の方、駅構内に振り返ると、夜が明けつつある空に月が沈もうとしていました。
「東の 野に炎の 立つ見えて
かへり見すれば 月傾きぬ」
人麻呂が歌い上げた、1500年前から変らない自然の雄大な営みを、北の大地でかみ締めながら、4621Dに乗り込みました。
2両の列車には、乗客は5~6人程。私を除くと成人の男性ばかりで、見たところ30代~50代位。白滝3駅の廃止を控え、それらの駅を目指す人も少なからずいるのでしょう。
列車は定刻に出発し、上川の街を走り抜けると、程なくして山中の無人地帯に入り、延々と走り続けます。以前、上川駅‐上白滝駅間には、天幕駅、中越駅、上越駅、奥白滝駅と、更に4つの秘境駅があったのですが、やはり利用客が極端に少なく、2001年までに全て廃止となってしまいました。そのため、上川‐上白滝間は34kmというとてつもなく長い駅間になり、峠越えの鉄路のため、約1時間もの所要時間が掛かります。
いつの間にか夜はすっかり明け、雪深い無人地帯に浮かぶ雲は白く、薄く光が差し込みます。ああ、やっぱり晴れなんだ。良かった!
暖かい車内から雪景色に見とれていると、列車は速度を落とし、山の中で停まりました。どこかの信号所で列車の擦れ違いかなと思っていると、少し先に駅舎があるのが見えます。ああ、これは中越信号所、かつての中越駅だなと思い出しました。すると、車内から降りた人が、駅舎に入っていくのが見えました。
信号所として残っているとは言え、駅舎が残る廃駅に停車した様子を興味深々に眺めました。駅舎の中には電気が灯り、他に何人も人がいる様子。恐らく冬の石北本線を守る保線員さんなのでしょう。
次のかつての上越駅こと上越信号所でも停車し、同じように車内の保線員さんを下ろし、2人の保線員さんが乗り込みました。
こうして4621Dを利用し、無人地帯にある保線詰所に保線員さんを送り届け、交代させているのだと感心しました。
かつてツイッターで、上白滝駅が廃止なれば、現在1日1往復となっている白滝‐上川間の4621Dと4626Dは廃止になるのではとつぶやいたら、その列車は旭川への車両の送り込みも兼ねているから、廃止になる事は無いと返信をいただいた事がありました。なるほどと思いました。加えて、もしかしたら保線員さん送迎も兼ね、4621Dと上りの4626Dは存在しているいのかもと思いました。
峠を越えると、後は上白滝駅に軽快に下りゆくのみ。その間、奥白滝信号所こと、駅舎が残るかつての奥白滝駅を目を凝らし、しばらくすると遂に上白滝駅に到着しました。
[2016年2月訪問] (北海道遠軽町)
⇒3駅廃止目前!冬の白滝シリーズ制覇の旅、その(2)はこちらへ…
「廃止直前!冬の上白滝駅を楽しむ」
また、下記タグ覧の
「3駅廃止目前!冬の白滝シリーズ制覇の旅」
をクリックすると、全7編、各記事の概要をご覧いただく事ができます。
コメント
いつも楽しく、読ませて頂いています。
記事内容と構成バランスが素晴らしいです。
2016-03-01 17:13 hmd URL 編集
いつもご覧頂きありがとうございます。
しかも身に余るお言葉まで頂き恐縮です。
今後、何回かに分けて、今回の冬の白滝シリーズ訪問の旅行記を
アップしてく予定です。どうぞご期待下さい。
hmdさんのブログ少し拝見しました。
夜遅いので、ブックマークして今度じっくり
拝見させていただきます。
2016-03-04 03:40 Solano@管理人 URL 編集