半年振りの旧白滝駅~雪と地元の人々の愛情に包まれる小さな駅~

~3駅廃止目前!冬の白滝シリーズ制覇の旅(5)~

今や白滝シリーズ1有名な駅

 白滝駅から旧白滝駅にタクシーでやってきました。旧白滝駅と言えば、今年2016年の始め、この駅唯一の地元利用者である女子高生の卒業にあわせるように廃止になる事が、ネット上で大きな話題となりました。

JR北海道・石北本線の秘境駅、旧白滝駅のホームと待合室

 1面の短いプラットホームに待合室があるだけの白滝シリーズ最小の駅は、半年前と違い雪ですっぽりと覆われていました。それでもホームは除雪されています。

 今日の下り列車は、上川駅を早朝に出発する普通列車が3時間前にこの旧白滝駅にも停車するとおしまい。次に停車する列車は約4時間後の上り列車。列車空白の時間帯ですが、ホームにはいくつもの足跡が残っていました。廃止が迫り、車での訪問者も多いのでしょう。

冬の石北本線・旧白滝駅、駅周辺の風景

 駅の東側、北見・網走方面を見渡しました。線路南側(写真右側)は電気柵で囲われた中、作物が盛んに茂る畑でした。一面の雪景色は畑とは信じられなく、まるで原野のよう。わずか半年前の事だけに、緑と白のコントラストが入れ替わり立ち代わり頭の中に甦り、季節の移り変わりに驚かされます。

旧白滝駅の人々…

旧白滝駅の古い木造待合室、昭和27年の建物財産標

 ホームの上には待合室がポツンと建っています。壁には「待合室1号 昭和27年」と標された建物財産標が残されています。旧白滝駅は、石北本線の延伸時に同時開業した他の白滝シリーズの駅とは違い、開業より約18年遅れ、地元住民達の請願叶い、戦後の1947年(昭和22年)2月11日に仮乗降場として開業しました。そして、小さな木造待合室は、その時、住民達が山から切り出した木で造ったものです。いかに住民達が喜びが大きかったかを感じます。

仮乗降場とした開業した旧白滝駅の木造待合室、昭和27年築

 待合室は、少しボロさはありますが、それでもしっかりと造られ、まだまだ使えそう。造り付けのベンチに座っても、ビクともしなく安定しています。それに木々の深い味わいは、年月を経てこそ。それなのにお役御免になり、そして取り壊されるだろう事はとても残念です。

廃駅を前にした旧白滝駅待合室、新聞記事などの掲示物

 駅の廃止を受けてか、壁には件の女子高生の新聞記事や、旧白滝村の町史の一部と思われる旧白滝駅設置の経緯を伝える章の切り抜きなどが掲示されていました。

 そしてもう一枚、
「鉄道ファンのみなさまへ。
 いよいよ、お別れの時が
 近づいてしまいましたネ。
 今まで、たくさんの
 思い出を アリガトウ…。
         場心。」
と書かれたレポート用紙も目を引きました。この紙の下に、駅近くの農場名が小さく印刷されているのに気付きました。きっと、これは農場主さんが、廃止を聞き日々訪れる鉄道ファンに感謝と…、そして幼い頃から見つめてきた愛着ある駅が失われる悲しみをこめて綴ったのだろう。ことば数は少ないが、その気持ちには胸に迫るものがありました。

 何となく外に出てみると、目の前の道路に見覚えのある黒い車が止まり、アレっ?て思いました。

再び旧白滝駅にやってきた白滝ハイヤーの車

 それはつい先程20分、ここに来る時に乗ってきた白滝ハイヤーの車でした。先程、私を送り届け、そしてまた同じように旧白滝駅にやって来るとは何たる奇遇かと…。

 降りた人を見るに、30歳前後の男性で、バッグパック一つを持った姿は、地元の人と言うより、旅行者風…。私と同じように、白滝シリーズの駅を巡るのが目的なのでしょう。時間を見ると、駅前の営業所に戻って直に、ピストン輸送のように、あの人を乗せて来た事になります。タクシーでここまで来る時、車内で白滝シリーズ目的のお客さんが増えていると聞きましたが、どうらや本当のようです。

JR石北本線、雪が積もった旧白滝駅で雪かきをする地元の人

 ホーム東端で、誰かが雪かきをしている姿がありました。お年寄りの女性で、濃いピンク色のレインコートの上には工事現場の人が着るような反射素材の帯を身に付けています。小柄な体で、雪をシャベルで救っては、ホーム背後に沿そってできた雪の山に放り捨てての繰り返しで、少しずつ前進してきます。

 ホーム上に雪は確かに積もっていましたが、靴が少し雪に埋まる程度で、歩くのには支障はない状態でした。常日頃、この方が雪かきをしてくれているお陰でしょう。それでもなお、お歳の体を押して律儀に雪かきをしている姿が、深く心に刻まれます。こうして、地域の人々で旧白滝駅を守っているという話を聞いた事があります。去年の夏に来た時、夜に地元の人が犬の散歩をしに来たのには驚きましたが、鉄道ファンに限らず、自転車旅行者など、たまに駅寝をする人も居るので見回りも兼ねていたのでしょう。

 確かに駅の周辺は過疎化が進み、住民のほとんどが旧白滝駅から列車に乗る事も無い生活を送っているのでしょう。それでも地元の人々に愛されている駅なんだと改めて実感しました。

 そんな雪かきに勤しむ女性にお礼を言わずにいられなく
「ご苦労様です。」
と声を掛けました。そこで、今日はよく晴れていますねとか、どこから来たのと立ち話に。

 晴れた空に、踏切の警笛が響き渡りました。通過列車のようです。すると雪かきの女性は
「通過する時に雪が飛び散るから、中に入ったほうがいいよ。」
と待合室の中で待つのを促されました。やってきた列車は、旭川行きの特別快速のきたみ。ホームに一瞬の吹雪を巻き起こしたかのように真っ白にし、警笛を鳴らしながら通過していきました。

 白滝ハイヤーで来たあの人は、やはり駅にやってきたので軽く挨拶を交わしました。秘境駅で同業者…、いわゆる同好の士と鉢合わせになると気になるもの。聞くと、同じ名古屋からやってきたそうで、青森から夜行急行はまなすに乗り、特急オホーツク1号に乗り継ぎ白滝駅で下車し、この後は、下白滝駅まで歩くとの事。やはり、駅間が比較的短い旧白滝駅‐下白滝駅間は徒歩移動が主流で、彼曰く「黄金ルートでしょう」と。更に列車で白滝駅まで戻り、そこから上白滝駅まで歩くとの事。白滝駅までは何と同じ行程!

石北本線、雪で一面真っ白な秘境駅・旧白滝駅

 さて、もうそろそろ下白滝駅へ行こうと思いました。雪かきされたばかりのホームを、一歩一歩踏みしめ、足跡ができる様を見つめ、半年前に来たばかりだけど、この駅とももうお別れかと寂しい気持ちで一杯になりました。

 南側から駅周辺の景色を眺めました。雪に埋もれそうになりながら、木の待合室がポツンと佇む様が、とても印象的に映りました。

冬の旧白滝駅のホームで雪かきをする地元の人

 気付けば雪かきの女性は、ホーム西端に達していました。仮乗降場の短めのホームとは言え、大変な作業です。心の中で、ありがとうございましたと声を掛け、旧白滝駅を後にし、下白滝駅まで歩き始めました。


⇒3駅廃止目前!冬の白滝シリーズ制覇の旅、続きのその(6)は以下へどうぞ。
旧白滝駅から下白滝駅へ…~この日2回目の駅間徒歩~

また、下記タグ覧の
「3駅廃止目前!冬の白滝シリーズ制覇の旅」
をクリックすると、全7編、各記事の概要をご覧いただく事ができます。

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コメント

Solanoさん、こんにちは。
こちらの記事も素晴らしいですね.......。
石北本線は学生の頃より何度となく乗車しておりましたが、この「白滝シリーズ」には乗下車をしたことはありません。
うらやましいです。
石北本線で乗車したのは夜行を含む特急オホーツクと急行大雪で、ローカルは今年の4月に初めて乗車しました。普通列車と特別快速きたみに乗車。
白滝シリーズの素晴らしさが記事からよくわかります。駅が「現役」のときに訪問しておくべきでした。とても残念です。
先述しましたとおり、今年4月に「特別快速きたみ」に乗車しました際、展望動画を撮影しており、白滝シリーズも撮影しているわけですが
改めて動画を見てますととっくにホームとか撤去されたりしているようで、重ねて残念に思いました。ご確認ください。
(※時間は動画再生での時刻です)
 下白滝  1:43:42
 旧白滝  1:47:39
 白滝   1:53:10
 上白滝  1:57:00
 奥白滝  2:03:15     
http://www.youtube.com/watch?v=zB67_s_GXAk
 ほかの記事も拝読させていただきます。

ありがとうございます。
「石北本線で夜行」
何て懐かしいキーワード!
JR北海道は乗降客が限りなく0に近い駅を廃止する方針を打ち立てていたり、
いくつかの路線廃止の可能性もあるので、気になる路線や駅がありましたら、
早めの訪問がお薦めです。

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列車に乗って気ままに鉄道旅。
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