国際特急・ユーロシティ(EC)でミュンヘンからイタリアへ

 ドイツのミュンヘンからイタリアのヴェネチアまで、ヨーロッパの国際特急列車・ユーロシティ(略称:EC)を乗り継ぎつつ、約8時間かけて向かいます。短い旅行期間の貴重な一日をずっと列車に乗って過ごすのはもったいない気もしますが、夜行ばっかりでは車窓は楽しめなく、TGV、ICE、タリスと言った、高速列車網が発展しているヨーロッパで、昔の雰囲気を残した客車による国際特急に乗ってみたかったという理由もあります。ま、鉄道好きなので、列車にのんびりと乗るのも大きな楽しみの一つなのですが。

「相部屋」の1等車にて

ミュンヘン中央駅、イタリア方面行きの国際特急・ユーロシティ

 私が乗るローマ行きEC85もう入線していました。編成の端から端まで歩いてみた所、全車トレニタリア(trenitalia: イタリア国鉄の列車運行を引き継いだ民営会社)の客車による編成でした。国境越えの国際特急だからと言って、特別な車両が充当されている訳ではないようで、薄汚れくたびれた感じの車両が連なっていて、窓も汚れが目立ちました。

トレニタリア、EC1等車コンパートメント

 今回利用するのは1等車。しかし、新幹線のグリーン車みたいに座席がずらりと並んでいるのではなく、コンパートメント車両…、要するに個室を何人かで利用する形式の昔ながらのヨーロッパのスタイル。この車両の1等車の場合、1室の定員は6名です。少々くたびれた感じとは言え、ゆったりとしていて、足を伸ばさなければ、前の人の足がぶつかって困るという事もなさそうです。

EC85、EC84の列車案内

 各部屋には今回乗るローマ行きEC85と、逆方向のミュンヘン行きEC84の時刻表が備え付けられていました。コンセントが付いていたのが意外で、ビジネスマンのPC利用を考慮したものでしょうか。時刻を改めて見てみると、列車を乗り換えるヴェローナまで、約6時間。その長い時間を、この列車内で過ごします。

 ミュンヘン中央駅を定刻に出発すると、すぐにミュンヘン東駅で停車。すると私以外誰もいなかったコンパートメントに4~50代の男性4人が乗車しました。これから同じ室内で旅をする人々、旅は道連れ、「Hello!」と軽く挨拶を交わしました。とは言え、知らない人4人との同室は少々息苦しく、コンパートメントが一気に狭くなった感覚を覚えます。その男性達は書類やPCを広げ、何か仕事の話をしています。私は移り変わる車窓を眺め続けました。

 そして列車はいつの間にか国境を越えオーストリアに入っていました。国境越えとは言っても、 オーストリアとドイツはシェンゲン協定施行国なので、パスポートのチェックなどと言った、出入国審査は無く、国境を越えた時を実感する事は無かったです。ただ、ドイツ鉄道の「DB」マークの車両でなく、オーストリア連邦鉄道の「ÖBB」の車両が多く目に付くようになり、ああオーストリアに入ったんだなあと実感しました。

特急列車・EC、オーストリアの車窓

 雪を頂いたチロルの山々を背景に、オーストリアの田舎町が次々と過ぎ去り、列車はチロル州の州都インスブルッグに停車します。同室の人々はここで下車し。コンパートメントは再び私一人になりました。

アルプス・ブレンナー峠を越えイタリアへ。ランチを愉しみつつ…

EC85、ブレンナー峠を控え山深い風景に

 インスブルッグを出ると二度目の国境越え、そしてアルプス山脈のブレンナー峠越えが迫ります。遠くにあった山々はより近くに迫り来るようで、標高は高くなり沿線の街々はすっかり雪を被っていました。

ブレンナー駅に停車した国際特急・EC85

 そして列車はブレンナー駅に到着しました。オーストリア、イタリアの国境の駅ですが、駅はイタリア側にあります。ミュンヘンからここまで約2時間30分。まだ半分にも達していない事に気づきました。ブレンナー駅ではやや長めの停車時間が取られています。気分転換にイタリアの空気でも吸いにいこうと、プラットホームに足を下ろしました。

 ブレンナー駅を出発してしばらくすると、乗車後に予約しておいた食堂車に向かいました。日本では食堂車はもはや特殊な車両となってしまいましたが、イタリアでは特急列車や国際列車に、食堂車を連結した列車がまだ多く運行されていてます。時刻表で、EC85にも食堂車の表記を見つけ、この旅の楽しみの一つにしていました。

EC、食堂車でのランチ。パスタ。 EC、食堂車でのランチ。パン。 EC、食堂車でのランチ、メインデッシュ。 EC、食堂車でのランチ、デザートのケーキ

 パン、プリモ・ピアット、セコンド・ピアット、ドルチェと続く軽いイタリアンのコースで、値段は20ユーロ程度と、それ程高くもありません。味はまあまあ。でもレールファンの私には、揺れる車内で移り変わりゆく車窓を眺めながらの食事は格別です。

イタリアの食堂車で飲んだエスプレッソ

 コーヒーは別料金だったので、食後にエスプレッソを追加。

 食事をしながら停車した駅の様子を見ていたのですが、これまでと違って多くの人が乗り込んでいたよう。一時間ちょっとで食事を済ませ、自分の部屋に戻ると2人の乗客がいました。国際列車とは言え、立派にインターシティとしての役割も果たしているようです。

 ぶどう畑の中を走り抜け、15:00過ぎにヴェローナーに到着。ここでヴェネツィア行き特急列車に乗り換えます。

ヴェローナに到着した特急列車EC85。ここで機関車交換。

 ヴェローナで機関車交換、ローマ行きECは進行方向が変わります。新たに機関車が連結されたEC85の横を、ブレンナー峠からこの駅まで牽引してきた機関車が通り過ぎます。解結された機関車の運転士が窓から首を出し、ホームにいる同僚に何かを話しかけています。日本では考えられませんが、イタリアらしいざっくばらんな光景です。

 TGVなど新しい車両はともかく、ヨーロッパでは、コンパートメントの座席車が多く、それが日本人の私には、知らない人と同室なんて嫌じゃないのかと思い理解できなかったのですが、今回、コンパートメントの座席を長時間利用して悪くはないかもと思いました。オープンタイプなら、他の人の動きがあり、時にざわついたりするのですが、コンパートメントだと、部屋の外の人の動きがあまり気にならず静粛が保たれやすいと思いました。まあ、今回は、1等で室内がゆったりし客層も良かったとか、同室の人が変な人じゃなかったとか、満員にならなかったなど、運が良かったというのもあると思います。コンパートメントは、グループでは一部屋を占有すればプライベートな空間となります。

ミュンヘンからの特急EC、終点のローマへの旅ままだ続く

 私はここで下車しますが、EC85はフィレンツェやボローニャなどに立ち寄りながら、ローマまでの長い旅がまだ続きます。ローマ到着は夜の8時過ぎです。

ヴェネツィア行きECに乗り換え

ヴェネツィア行き特急・チザルピーノ

 ヴェローナ駅でヴェネツィア行きECチザルピーノに乗りました。チザルピーノはチザルピーノ社による、スイスとイタリアを結ぶ特急列車で、この列車ははるばるチューリヒからアルプスを越えやってきました。

チューリッヒ発ベネツィア行きECチザルピーノ、一等車

 先ほどのミュンヘン発のECと違いオープンタイプの客室で、1‐2の横3列配置のボックスシートがゆったりと並びます。正直、こちらの方がほっとします。内装はきれいに改装されたものが使われています。

 ヴェネッイア・メストレ駅を出ると海を渡る長い橋を渡り、ヴェネツィア本島側の駅、サンタルチア駅に到着。約8年ぶりのヴェネツィアです。駅舎を抜けると、目の前には中世の情緒を存分に残す街並みと、大運河が出迎えてくれました。

ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅前、夜の大運河.


 駅前のホテルにチェックインし旅装を解き部屋で一休みすると、軽く周辺をぶらつこうかと、カメラだけを手に街に出ました。裏道から表通りに出ると、商店街は帰宅に寄り道にと多くの地元の人々が行きかっていました。きらびやかに昔のままの街並みを照らす灯りの数々に誘われたのでしょうか…、深みにはまるように灯りの奥へ奥へと私の足は向かっていました。

ヴェネツィア、夜の街並み

[2008年1月訪問]

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作者: Solano

Solano

列車に乗って気ままに鉄道旅。
或る駅でふと降りて、駅舎や構内をあれこれ観察。そしてぶらぶら街歩き。
飛行機でどこか遠くへ行くことも。
日本全国、たまに海外へ…

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