栄光の1列車~寝台特急はやぶさ・熊本行き最終日~

 寝台特急はやぶさ号の下りラストランに乗ってきました。状況を携帯電話でリアルタイムに車内から発信しようかと考えていたのですが、電池の減りが予想以上に早く中断。改めて乗車記を掲載します。

東京駅で上りの富士・はやぶさの到着を見る

 10時打ちの激闘を制した一ヵ月後、名古屋から東海道新幹線で、下り富士・はやぶさの始発駅の東京駅へ。途中停車駅の名古屋からでも乗車できたのですが、東海道ブルトレの全区間乗車は、東海地方在住の鉄道ファンとして昔から憧れ。なのでラストランはやはり全区間乗車です。

終着駅の東京駅に到着した上りの寝台特急富士・はやぶさ号

 東京駅に先回りし、上りの富士・はやぶさの到着を見守りました。運行最終日の朝だけあって、多くの人がいて、マスコミの姿もちらほらと。

東京駅プラットホーム、寝台特急はやぶさ乗車位置案内板

 東京駅10番線、はやぶさの乗車位置案内。そしてはやぶさ・富士の終着駅の大分・熊本の文字も…。明日からは無くなるのでしょう。

ラストラン、多くの人々に見守られ最後の旅路へ…

都内をぶらつき、夕方、東京駅に戻ってきました。

ラストランとなる下り寝台特急はやぶさ・富士、東京駅に入線

 17:20頃に、はやぶさ・富士号は入線しました。最後の東京駅発着にして九州行きブルートレインの最終日という事で注目度はとて高く、最後の旅立ちを見届けようと3000人が集まったとか。隣の一段高い東北新幹線ホームも、黒山の人だかりでした。

寝台特急はやぶさ、2段式B寝台

 人ごみをかき分け、今宵の宿のB寝台に辿り着きました。進行方向とは逆になりますが、最終日にして下段という良席。車窓風景も存分に楽しめそう。

最終日の下り寝台特急はやぶさB寝台、満席の車内

 ここ十数年、何度も東海道、九州ブルトレに乗車しましたが、車内はいつも閑散としていました。こんなに賑わっている開放式B寝台を見るのはいつ以来だろうかと思う程。夜行列車が輝いていた頃を思い起こさせます。


 突然、車外から大きな拍手が渦のように沸きあがりました。「ありがとうー!」「さよなら!!」と声援も混じります。そして窓の外には幾重もの人、人、人が後方に流れるように飛び去ります。寝台特急富士・はやぶさの、もう2度と無い旅立ちの時…

、ビルのネオンがきらめく中、出発後すると、車内アナウンスが始まりました、冒頭の
「栄光の1列車、特別寝台急行富士・はやぶさ号…」
が、私の心に響きます。ダイヤ改正を跨ぐ都合上、ラストランの富士・はやぶさは9001という列車番号が付けられています。しかし私の幼い頃、列車番号「1」、1レを付与されていたのは、客車で運行される長崎・佐世保行きの寝台特急さくらでした。それに続く「3」「5」を付けられていたのは、さくらに続き西を目指さす寝台特急達でした。生き残った富士・はやぶさが廃止になる今日まで、その番号は東海道を走り遠く西を目指すブルートレインが着けていました。「1」を与えられ、颯爽と長い旅路をゆく長距離の寝台特急は、私にとってまさに花形列車の番号でした。

横浜駅でラストラン富士・はやぶさを見送る人々

 停車駅や、通過する駅のプラットホームでさえ、最後の富士・はやぶさを見送る大勢の人々がいました。写真は横浜駅。

 最後の九州ブルートレインの廃止が連日報道されているためでしょう。そんな各駅の鉄ファンはもちろん、沿線の子供や犬の散歩途中の人、踏切待ちのおばさんまで、多くの人が走り去る富士・はやぶさに手を振りエールを送っているのが車内から見えました。同じ風景の中を駆け抜けているはずなのに、今日が最終日という実感を強くしました。

ラストラン富士・はやぶさ、名古屋停車

 名古屋駅停車中。車窓の外は涙雨…。

 3月に入り、富士・はやぶさの姿を焼き付けようと、仕事が終わり何度も夜の名古屋駅に見送りに来たものです。そして遂に今日という日を迎えてしまいました。

 満席でファンの車内探索で多少のざわつきはあります。しかし、定員が少ない寝台特急という事もあり、車内は割とまったりしています。

ラストラン・フルートレイン富士・はやぶさ、深夜の京都駅に停車

 日付が変わり、京都駅に停車しました。すると扉が開いた瞬間、警察官が車内に入りこみました。最終列車にしても少々物々しく、まさか犯罪予告でもあったかなあと冗談半分で思いました。しかし、本当に爆破予告があったようで、お陰で約15分の遅れが発生しました。

寝台特急・富士・はやぶさ、流れ行く夜の車窓

 とうに減光され0時をまわり、賑やかだった車内はもう眠りの中へ。私は閉めたカーテンを窓側だけを開け、走る列車から流れ行く街の夜景を眺め続けました。真夜中、車内から眠りに就いた街を眺め物思いに耽るのは寝台特急の旅の醍醐味。それが昔から憧れ親しんだ九州ブルトレで味わえなくなる事を思うと、一層、心にしみます…。

一夜明けて

夜明けの富士はやぶさ、広島県内?を走行中

 浅い眠りから覚め顔を洗い身支度を整えると、ちょっと探索にと、はやぶさの後部に連結されている富士号の編成終端まで歩いてみました。加古川付近であった人身事故の影響で、2時間近い遅れが発生していたとの事。それでも終着駅に向け、懸命の走りを見せています。 

夜明けの寝台特急から眺める瀬戸内海

 車内放送で「ブルートレインから眺める最後の瀬戸内海の眺めをお楽しみ下さい・・・」と車掌さんがアナウンスすると、誰もが瀬戸内海に釘付けに。ブルートレインで西へ向かっている時、旅の気分で高揚した私は、いつもあまりよく眠れず、大抵、このあたりを通る頃には起きていて、車窓の外に広がる海や島々をぼーっと眺めていたものです。

ラストランの富士・はやぶさ、下関駅の機関車交換・EF81

 下関駅での機関車交換。EF66からEF81にバトンタッチ。数十年前からあまり変わっていないプラットホームがブルートレインを迎え入れるのもこれが最後…

 ブルートレインの関門トンネル区間を担う電気機関車EF81は、かつてステンレスのシルバーカラーでした。子供の頃、ステンレスの銀色の車両はあまり好きではなかったのですが、それでも子供の頃に買ってもらった鉄道模型の車両は銀色のEF81と、A個室寝台のオロネ25だったりします。

寝台特急はやぶさの昼食、徳山駅の駅弁・あなごめし

 午前11時頃、門司駅を出ると、昼食にと車内販売で購入した駅弁・徳山のあなごめしを紐解きました。昨晩、出発後の夕食はデパ地下の弁当。今朝の朝食はパン。そして昼食。車内での3食に寝台特急の長い旅路を実感しました。

 特急列車は通勤列車で賑わう鹿児島本線に入りました。2時間近い遅れは相変わらず。だけどいらついた雰囲気は無く、それぞれに、最後の九州ブルトレの旅を楽しんでいるようです。

 下松からは「ヒルネ」こと、寝台券不用の立席特急券でB寝台に座席として乗車できます。ラストランという事で混乱を心配していたのですが、枚数が制限されている事もあり、杞憂だったようで、満席の車内は意外と平静です。

 駅弁を食べ満腹になったのと、気分の高揚で昨晩あまり眠れなかったこともあり、眠気がまわってきました。暖かい車内で、しばしウトウトzzz.........

ラストラン寝台特急はやぶさ、久留米でリレーつばめを退避

 九州に入り、遅れが広がると思いましたが、何とか少し縮め、久留米に到着。特急リレーつばめに道を譲りました。

遂に終点の熊本駅に到着。

 大牟田駅を出ると、いよいよ次は終点の熊本で、終幕に向け、遂に本当のラストラン…。眠さでウトウトしていたのですが、はやぶさのラストランを見届けようと、再び神経が昂ります。

熊本駅でラストラン寝台特急はやぶさの終着を出迎えた人々

 移築保存された上熊本駅を掠めしばらくすろと、遂に終点の熊本駅に。2時間近い遅れにも関わらず、多くの人々が長年、走り抜けた寝台特急の到着を待ちわびていました。

 本当に寝台特急はやぶさは…、そして九州ブルートレインは終わってしまいました。もうこれが本当に最後なんだと思うと、熊本駅に降り立った瞬間、私の中で1つの時代が終わったような気持ちを感じずにはいられませんでした。

 そして大勢の人々が見守る中、遂に帰らぬ旅へ…

ラストランを終え熊本駅を離れる寝台特急はやぶさ、ED76 ラストランを追え回送される寝台特急はやぶさ、B寝台車 ラストランを終え回送され遠ざかる寝台特急はやぶさ

 小学生のブルートレインブームの頃、ブルートレインに憧れ、初めて乗車した寝台特急ははやぶさでした。学生になりアルバイトするようになると、奮発してブルートレインで旅をしました。そして社会人になると、何度も仕事終りに、ブルートレインに飛び乗り旅立ったものです。

 気がつけば長いつきあいでした。そんな付き合いを、最後の寝台特急はやぶさの中で締められた事は、幸せだったなあとしみじみと思います。これほど乗れて嬉しかった列車は、もう私の中では出ないでしょう。

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コメント

Solanoさん、こんばんは。
いやはや、大変興味深いです。
記事の内容もそうですが、いやいや、その
内容というか、拙者と行動がすごく似ている!!
なんというか、「似ていて、反対側」といいますか、そんな感じです。
飛行機がSolanoさんがJGCで拙者がSFC。
Solanoさんが寝台特急はやぶさの最終列車の熊本行きにご乗車されているんですよね??
拙者は、この日、熊本発東京行きの寝台特急はやぶさに乗車しております。本当です。
しかも、同じように列車内でブログを更新もしています(笑)
https://ameblo.jp/superflyers747/entry-10359697067.html
なんだか、モーレツに感動しています。
このあとも、ゆっくり拝見させていただきます。
ちなみにこの車内放送、下関駅出発と東京到着直前ですが、自分で録音しながら感動していました。懐かしい思い出です。
https://www.youtube.com/watch?v=3ER2g7_rhOM

興味の方向は同じようですが
似ているような、擦れ違っているような…、ですね(笑)
九州ブルトレの廃止からもう8年。
ラストランは忘れられません。
失われた愛着ある列車が、唯ただ…懐かしく思い出されます。

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作者: Solano

Solano

列車に乗って気ままに鉄道旅。
或る駅でふと降りて、駅舎や構内をあれこれ観察。そしてぶらぶら街歩き。
飛行機でどこか遠くへ行くことも。
日本全国、たまに海外へ…

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