写真と心の中に刻まれた、ある日の旅のワンシーン…
鉄道と列車、駅舎巡り、エアラインと言った乗り物系の他、旅で訪れた街の風景、気になるモノ、宿泊したホテルなんかも綴った旅行記ブログ。日本全国、たまに海外へ…
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2007年秋のある日の午後、駅巡りの旅で千葉県館山市にあるJR東日本内房線の那古船形駅で下車しました。
木造駅舎など駅をあれこれ見ていると、ホンダの業務用バイクとのカブが駅前に停められ、運転していた人は駅の中に消えていきました。そして続くように1台、また1台とバイクがやってきては、運転していた人は同じように駅の中に消えていきました。停められたカブの数は計3台となりました。時間差でやってきては、同じような行動が繰り返され、何だろうと不思議に思いました…。
しばらくすると下り列車が到着したようです。それから少しして、先程のカブで駅に乗りつけた3人が、ビニール袋に入った荷物を抱えて戻ってきました。その荷物は新聞でした。3人とも同じように新聞をカブに積むとると駅から立ち去っていきました。彼らは新聞屋さんだったのです。同じタイミングで那古船形駅に駅にやって来た目的は、東京のJR総武本線の両国駅から、列車で送られて来た夕刊を受け取る事でした。そして、これから各家庭に夕刊が届けられるのでしょう。
日曜祝日、年末年始以外の夕刊の発行される日は、両国駅から千葉駅まで1日1本の新聞輸送専用の列車が運行され、車両はスカ色をまとった国鉄型の113系電車が充当されています。
両国駅での新聞輸送列車が出発するプラットホームは、総武本線の前身である総武鉄道ターミナル駅の風情残す行き止まりの3番線です。
3番線の片隅には、新聞の運搬に使っていると思われるカートが留置されていました。
千葉駅到着後は分割され、内房線、外房線の定期列車と連結され、旅客輸送も同時に行われます。両国発の分割されたそれぞれ最後尾の車両が新聞専用の車両で、ドアの部分は「荷物専用 他の車両へご乗車下さい」と注意書きの書かれた仕切りが吊るされ、乗降客の立ち入りが禁止されます。旅客輸送のついでと言った感じですが、まるで現代に生き残った混合列車のようです。新聞ではありませんが、私も昔はJRのローカル線の旅客列車で、車両の一角がビニールシートの仮設の壁で区切られた、荷物輸送に出くわした事が何度かあります。
しかしこの珍しい、・・・というか唯一の新聞輸送列車は、2010年3月12を最後に廃止されてしまいます。ダイヤ改正の3月13日からはトラックの輸送に切り替えられます。道路事情が昔に比べ改善され、経費もトラックの方が安くつくからとの事です。そして、それは頭端式ホームの両国駅3番線を定期的に使っていた唯一の列車が無くなってしまう事を意味します。両国駅3番線の行く末も気になりますが、両国駅からの新聞輸送列車という独特な鉄道風景がひとつ失われる事は、時代の流れとは言え寂しく思います。
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『名鉄新名古屋駅(現・名鉄名古屋駅)での新聞輸送風景』もどうぞ!
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